「ウッドデッキを作りたいけど、どこから始めればいい?」
この記事は、その問いに機械設計エンジニアが本気で答える記録です。
DIYの記事を調べると「感覚でやった」「なんとなく決めた」という説明が多い。 でも私はエンジニアなので、なぜその寸法か、なぜその材料か、本当に強度は大丈夫かを説明できないと気持ちが悪い。
だからこの記事では、設計図・計算根拠・材料選定の理由を全部書きます。 失敗した点も正直に全部書きます。
1. 設計図と寸法決定の根拠
最初に決めたのはサイズです。「大きければいいわけじゃない」という話をします。
サイズを3,600×2,700mmにした理由
我が家のリビング掃き出し窓の幅が約1,800mm。 デッキ幅を窓幅の2倍(3,600mm)にすることで、 窓から出たときに左右に自然な余白が生まれ、 視覚的に広く感じる設計にしました。
奥行き2,700mmは「大人2人がデッキチェアを置いてくつろげる最小寸法」として チェア奥行き(600mm)×2 + 通路(800mm)+ 壁側余白(700mm)= 2,700mmと算出。 感覚ではなく、使い方から逆算しています。
荷重計算の考え方
「設計図さえあれば作れる」——そう思っていましたが、エンジニアとしては 「このデッキは何kgまで耐えられるか」を確認してから作りたい。
| 荷重の種類 | 想定値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 人間(固定荷重) | 4名 × 65kg = 260kg | 家族4人の最大想定 |
| 家具・荷物 | 約100kg | テーブル・チェア×4・植木等 |
| 積雪荷重(地域による) | 対象外(積雪地域外) | 設置地域で要確認 |
| 風荷重(屋根) | 簡易計算で確認 | 屋根面積×基準風速 |
| 合計設計荷重 | 約500kg(安全率1.5で750kg相当) | — |
この荷重に対して、根太(ねだ)の間隔・断面サイズを逆算して決定しています。 詳細は設計図PDFに計算シートを同梱しています。
2. 材料選定と費用内訳
木材の選定:ウリン vs SPF
屋外木材の選択は耐久性とコストのトレードオフです。 床板にウリン(イペ材)を使い、構造材にSPFを使うという組み合わせにしました。
| 材料 | 使用箇所 | 理由 | コスト |
|---|---|---|---|
| ウリン 90×20mm | 床板 | 耐水・耐腐食。メンテナンスほぼ不要。硬くて傷がつきにくい | ¥68,000 |
| SPF 2×4(3.6m) | 大引・根太 | 構造材なので塗装で保護。ウリンより加工しやすい | ¥24,000 |
| SPF 4×4(3.6m) | 柱 | 90mm角以上で剛性確保。屋根荷重を考慮 | ¥18,000 |
| ポリカ波板(クリア) | 屋根材 | 採光確保しつつ雨を防ぐ。軽量で屋根荷重を抑制 | ¥32,000 |
| 束石(羽子板付き) | 基礎 | 独立基礎。12個配置。引き抜き防止のため羽子板タイプを選択 | ¥19,200 |
| コーススレッド・金物類 | 全体 | ステンレス製を選択(屋外は必須) | ¥14,800 |
| その他(塗料・養生等) | — | キシラデコール(油性)選択 | ¥11,000 |
| 合計 | ¥187,000 | ||
3. 工程記録(23日間)
設計図を最終確認し、ホームセンターとネット(Amazon)で材料発注。 重量物(束石・SPF材)は車で2回に分けて運搬。 ポイント:ウリン材はオンラインのほうが20%安い。
最初の束石3個を設置してみると、どうしても水平が出ない。 原因は地面の締め固めが不足していたこと。 砂利を敷いたつもりが、層が薄くて荷重で沈んだ。 2個やり直しで半日×2日ロス。
レーザー水平器(Huepar LS04CG)を導入し、砕石を100mm以上敷いて十分に突き固め。 以降の9個は一発で水平が出た。レーザー水平器は必須投資(約1.5万円)。
束石の羽子板ボルトに柱を固定し、大引(90×90mm)を渡す。 根太(45×90mm)を455mm間隔で設置。 ポイント:根太間隔は荷重計算から455mm以下が必要と算出。300mmでも可。
ウリンはとにかく硬い。ビス下穴あけが必須(割れる)。 隙間は6mmに統一(排水・熱膨張を考慮)。 ウリンは素手で触ると手が黒くなる(タンニン)。手袋必須。
垂木を母屋(3,600mm)に渡し、ポリカ波板を留め付け。 勾配は1/20(2.86°)。排水を確保しつつ、視線を遮らない角度を算出。 最後にキシラデコールを塗って完成。
4. 完成! before / after
Before: コンクリート土間のみ
After: 屋根付きウッドデッキ完成 ¥187,000
5. まとめと反省点
23日間・¥187,000でウッドデッキが完成しました。 結果として業者見積もり(¥480,000)から¥293,000のコスト削減になりました。
反省点は2つ。 ①束石の下地処理を軽視したこと。②ウリン材の重量を甘く見てほとんど一人で運ぼうとしたこと(腰を痛めました)。
設計は完璧に準備できましたが、施工は設計通りにいかないのが現実。 その差分を埋める経験が、次のDIYをもっと合理的にしてくれます。