洗面脱衣室編 第12回 Phase 2 — 下地工事

この記事でわかること

📐 完成寸法: 内寸 幅455mm × 奥行き540mm × 深さ220mm 💰 材料費: 約¥6,800 ⚖ 想定積載荷重: 最大30kg(洗剤ストック・掃除用品等)

なぜ既製品が使えなかったのか

床下収納庫といえばホームセンターに既製品が売っている。なぜ自作したか。

既製品の床下収納庫は根太ピッチ303mmまたは455mmを前提に設計されている。しかし、腐食根太を復元した今回の洗面脱衣室では、根太ピッチが不規則(340mm〜480mm混在)になってしまっていた。既製品の開口枠サイズが根太の配置に合わない。

また、洗面脱衣室の床下空間の深さが220mmしかなく、一般的な既製品(深さ250〜300mm)が入らなかった。自作しかなかった。

💡 「既製品が使えない = 自作チャンス」
既製品が使えない状況は一見困るが、自作すればスペースを最大限活用した収納庫が作れる。うちは内寸220mmのぴったりサイズで、既製品より収納量が多くなった。

寸法設計——根太ピッチとの整合が鍵

床下収納庫の外寸は「開口を切り抜く根太の間隔」に収まらなければならない。根太を切断するのはNG(構造強度が落ちる)。

寸法項目寸法設計根拠
根太間有効寸法(幅方向) 475mm 隣接根太2本の内側寸法を実測
根太間有効寸法(奥行き方向) 560mm 直行する根太2本の内側寸法を実測
収納庫外寸(幅) 463mm 根太有効475mm − 両側6mm(枠材厚3mm×2)
収納庫外寸(奥行き) 548mm 根太有効560mm − 両側12mm(隙間余裕)
収納庫内寸(幅) 455mm 外寸463 − 側板厚4mm×2
収納庫内寸(奥行き) 540mm 外寸548 − 側板厚4mm×2
収納庫深さ 220mm 床下空間の実測深さから蓋厚・枠厚を引いた値

荷重計算——底板のたわみ検討

底板に30kgの荷物を置いたとき、底板がたわんで割れないか確認する。機械設計の仕事で使う梁のたわみ計算を木材に適用する。

📐 底板たわみ計算(単純支持梁近似)

底板材: 針葉樹構造用合板 12mm厚
スパン L = 455mm(内寸・幅方向)
積載荷重 W = 300N(30kg × 9.8 ≒ 300N)
弾性係数 E = 5,880MPa(針葉樹合板、JAS規格値)
断面二次モーメント I = bh³/12 = 540×12³/12 = 77,760mm⁴

最大たわみ δmax = 5WL³ / (384EI)
= 5 × 300 × 455³ / (384 × 5,880 × 77,760)
= 5 × 300 × 94,196,375 / (176,254,924,800)
= 141,294,562,500 / 176,254,924,800
0.80mm

許容たわみ = L/300 = 455/300 = 1.52mm
0.80mm ≪ 1.52mm ∴ OK(安全率1.9倍)

12mm合板で問題ないことが確認できた。念のため底板は2枚重ね(計24mm)にすることも検討したが、重量・深さの制約から12mm1枚で進めた。

材料リスト

部材材料寸法数量用途
底板 針葉樹合板 12mm 463×548mm 1枚 収納庫底面
側板(長辺) 針葉樹合板 12mm 220×548mm 2枚 収納庫の奥・手前の壁
側板(短辺) 針葉樹合板 12mm 220×439mm(=455-12×2を考慮) 2枚 収納庫の左・右の壁
開口枠材 45×30mm 角材 各辺合わせカット 4本 床板への固定枠(蓋の受け)
蓋板 フロア合板 12mm 475×560mm(開口より大きく) 1枚 蓋本体(別記事:014で詳述)
防腐剤 キシラデコール 適量 全木材面に2度塗り

🔧 床下収納庫自作に使った主要材料

針葉樹構造用合板 12mm厚(910×1,820mm)
JAS規格品。ホームセンターで1枚1,200〜1,800円程度。カットサービスを使うと持ち帰りが楽。底板・側板に使用。
Amazonで見る
キシラデコール 防腐・防カビ塗料
水回り・床下環境での木材防腐に。2度塗りで効果倍増。色はクリア(透明)が木目を生かせる。
Amazonで見る
次の記事:床下収納庫 施工編 →
洗面脱衣室編 第13回 Phase 2 — 下地工事

この記事でわかること

⏱ 作業時間: 防腐剤乾燥含め2日間 🔧 主要工具: 丸のこ・電動ドライバー・コーナークランプ
🔴
DIY父さん愛用
HiKOKI C3606DA コードレス丸のこ 36V(165mm)
黒鯱チップソー対応のプロ仕様。木材・ポリカ・合板のカットに。36Vマルチボルトでパワー十分。
¥37,800

カットから組み立てまでの全工程

STEP 1

合板のカット

設計図の寸法通りに丸のこ+ガイドレールでカット。ガイドレールがない場合はクランプで真っ直ぐな材木をガイドとして固定する。±0.5mm以内の精度で切れれば箱組みの隙間が最小になる。

カット順序:①底板 → ②長辺側板2枚 → ③短辺側板2枚。ガイドをセットしたまま同じ寸法のものを2枚続けて切ると効率的。

STEP 2

防腐剤の1回目塗布(組み立て前)

組み立てる前に全パーツにキシラデコールを1度塗りする。組み立て後は塗れない面(内側の木口)があるため、必ず組む前に塗る。刷毛で薄く均一に塗り、4〜6時間乾燥させる。

STEP 3

箱組み(底板→長辺側板→短辺側板の順)

①底板を水平な台に置く。②長辺側板を底板の奥・手前に立て、コーナークランプで固定しながらビス留め(65mmコーススレッド、200mm間隔)。③短辺側板を両端に立て、同様にビス留め。

組み立て中は対角寸法を計測してひし形になっていないか確認。2本の対角線の差が2mm以内なら直角が出ている。

STEP 4

防腐剤の2回目塗布(組み立て後)

箱が組み上がった状態で、外面・内面すべてに2度目のキシラデコールを塗布。木口(切断面)は吸い込みが多いので念入りに。さらに6時間以上乾燥させる。

STEP 5

開口枠材を床板に固定

床板の開口部周囲に45×30mm角材(開口枠)を取り付ける。この枠が収納庫を支持し、蓋の受けにもなる。角材の上面を床板上面と面一(つらいち)になるよう、根太にビスで固定する。

STEP 6

収納庫本体を床下にセット

完成した収納庫箱体を開口から床下に下ろし、開口枠の内側に収める。収納庫の上端(側板の上面)が開口枠の下面に当たるよう位置決めする。必要に応じてL字金物で開口枠に固定する。

⚠ 接着剤は使わない
床下収納庫は将来的に取り外し・メンテナンスが必要になる可能性がある。接着剤を使わず、すべてビス接合にすることで分解・補修が可能な構造にする。
次の記事:床下収納庫 蓋製作編 →
洗面脱衣室編 第14回 Phase 2 — 下地工事

この記事でわかること

📐 蓋外寸: 475×560mm(開口より10mm大きく) 🔩 取っ手: リングプル式(床面と面一になるタイプ)

蓋の3つの要件

床下収納庫の蓋は「ただの板」では不十分だ。以下の3条件を満たす必要がある。

  1. 踏んでも割れない強度——上を歩く可能性があるため、体重80kg以上でたわまない構造
  2. 床面と段差ゼロ——つまずき防止と見た目のため、周囲のフロアと面一に収まること
  3. 気密性——床下からのニオイ・虫・冷気の侵入を防ぐためのシール

フラッシュ構造の蓋——フレームに合板を張る

「フラッシュ構造」とは、框(フレーム)の両面に薄い板を張った軽くて剛性の高い構造。ドアや収納扉に多用される。今回は片面張り(表面のみ)のシンプルな版を採用した。

STEP 1

蓋の框(フレーム)を作る

30×40mm角材を蓋の外寸に合わせて枠組みする。四隅はビスコーナー接合(木工用ボンド併用)。框の外寸は蓋の仕上がり外寸(475×560mm)通りに。

STEP 2

表面にフロア合板を張る

フロア合板12mm(475×560mm)を框の上面に木工用ボンド+ビスで固定。ビスは框の内側から斜め打ち(トメビス)して表面に出ないようにする。表面は周囲のフロア材と合わせたクッションフロアを貼る(後工程で実施)。

STEP 3

リングプル取っ手の取り付け

蓋の中央にリングプル(埋め込み式の引き手)を取り付ける。使わないときはリングが蓋と面一に収まり、使うときはリングを引き起こして蓋を持ち上げる。
取り付けは蓋に穴を開けて本体を埋め込みビス留め。穴径・深さは製品の指定寸法を厳守。

STEP 4

開口枠にパッキンテープを貼る

開口枠の上面(蓋が乗る面)にスポンジゴム製パッキンテープ(3mm厚)を一周貼る。蓋を閉めたときにパッキンが圧縮されて気密が取れる。床下のニオイ・虫・冷気がこのパッキンで遮断される。

STEP 5

蓋を置いて段差・がたつきを確認

蓋を開口枠に乗せて床面との段差を確認。段差がある場合はパッキンの厚みか枠の高さを調整する。踏んでガタつく場合はパッキンの弾力不足——厚めのパッキンに交換する。

確認項目基準値結果
蓋上面と周囲床面の段差 0.5mm以内 0.3mm ✅
蓋を踏んだときのたわみ 目視でたわみなし 問題なし ✅
蓋を踏んだときのガタつき 音・動きなし 問題なし ✅
開閉のしやすさ 指1本でリングを引いて開けられる 問題なし ✅

🔧 蓋製作に使った部品

リングプル(埋め込み式引き手・ステンレス製)
床下収納庫・点検口の蓋用。ステンレス製が錆びにくく耐久性高い。サイズは取り付ける蓋厚に合わせて選ぶ(12mm板→M6規格程度)。
Amazonで見る
スポンジゴムパッキンテープ 3mm厚×15mm幅
気密・防虫のパッキン用。粘着付きタイプが施工しやすい。EPDM素材が耐候性・耐圧縮永久歪み性能が高い。
Amazonで見る
洗面脱衣室DIYリフォーム 完全ガイドに戻る →

🛒 洗面所 床下収納 材料

🛒
この記事で使った材料・工具まとめ
実際に使用した材料のAmazonリンク一覧
🪥
洗面化粧台
幅750mmが標準サイズ
🟫
クッションフロア
トイレ・洗面の床材定番
🎨
キシラデコール(防腐塗料)
屋外木材の防腐定番
🪵
合板(12mm構造用)
床下地・棚板に
🪵
根太材
床下地の骨組み
🎨
木部防腐剤
土台・束柱の防腐処理
🔩
コーススレッド
木工DIYで最も使うビス
⚙️ 床下収納庫 自作設計の相談

「床下収納庫を自作したい。寸法と強度の計算が不安」
荷重計算・根太ピッチとの整合を機械設計エンジニアが確認します

底板のたわみ計算・根太ピッチとの整合・材料選定まで、床下収納庫の自作設計を機械設計の観点でレビューします。
「設計図を送れば確認します」というシンプルな相談も歓迎です。

床下収納庫 設計相談はこちら →

※ 内容によりお断りする場合があります。まずはお気軽にご連絡ください。

💼 DIY設計で迷っていませんか?
機械設計エンジニアがあなたのDIYプランを診断。構造・材料・工程の疑問をプロ視点で解決します。
📐 DIY有料相談の詳細を見る →

🔧 この記事のテーマで使えるアイテム

同等品・代替品をカテゴリ別に一覧化しました。機械設計エンジニア目線で実作業に耐えるグレードをピックアップ。

洗面化粧台(750mm)
クッションフロア(洗面所)
洗濯機用防水パン
水栓金具・給水ホース

※ Amazonアソシエイト/楽天アフィリエイトのリンクです。購入時に当サイトに紹介料が入る場合があります。