基礎工事で一番大事な作業は、束石(つかいし)を地面に置くことではない。どこに置くかを決めることだ。
この割付け計画を雑にやると、あとで根太が斜めになったり、床板の割り付けが合わなかったり、最悪の場合は束石を全部やり直すことになる。実際に僕は次の記事(033)で大きな失敗をしてやり直しを経験しているが、原因の一つがこの計画段階の詰めの甘さだった。
僕のウッドデッキは完成サイズ 3,600mm×2,700mm(屋根付き)。根太間隔を455mmで設計したので、束石の間隔は根太を支える位置=910mm ピッチ(455mm×2)が基本となる。
| 項目 | 数値 | 根拠 |
|---|---|---|
| デッキ奥行き方向スパン | 2,700mm | 設計寸法 |
| 奥行き方向 束石列数 | 4列 | 2,700 ÷ 910 ≒ 3スパン → 両端+中間 |
| デッキ幅方向スパン | 3,600mm | 設計寸法 |
| 幅方向 束石列数 | 4列 | 3,600 ÷ 1,200 ≒ 3スパン(根太方向) |
| 合計束石数 | 16個 | 4×4 格子配置 |
| 使用束石 | 羽子板付き束石 180角 | 単管固定用(ボルト穴あり) |
束石を直角に配置するためには、地面に正確な直角を出す必要がある。これに使うのが「3-4-5法」だ。
直角三角形の3辺の比が 3:4:5 のとき、必ず直角が成立する。これはピタゴラスの定理 3²+4²=5²(9+16=25)から来ている。
家の外壁面(または基礎面)を基準線とする。外壁に平行にデッキを作るので、まず外壁から一定距離(今回は離れ0mm=外壁に接する)にメジャーを当て、1辺目の水糸を張る。
1辺目の糸上に起点Aを取る。そこから1辺目方向に3,000mm(=3の倍数)の点Bを取る。起点Aから垂直方向に4,000mm(=4の倍数)の仮点を取る。B〜仮点の距離が5,000mm(=5の倍数)になるよう仮点を動かす → これが直角の確定点Cになる。
確定した四隅の位置に貫板(ぬきいた)を打ち込み、水糸を張る。水糸は細くてたわみが少ないナイロン製を使用。テンションを均等にかけてたわみを最小化する。
張った水糸の四角形の対角線2本の長さが等しければ直角が出ている証拠。今回の場合:対角線 = √(3600²+2700²) = √(12,960,000+7,290,000) = √20,250,000 ≒ 4,500mm。メジャーで両対角を測り、誤差±5mm以内であれば合格。
水糸が張れたら、各束石の中心位置を地面に書き込む。これを「根切り(ねきり)」または「墨出し」という。
水糸の交点から下にスケールを垂らし、地面に釘や石灰で印をつける。この段階で全16点の位置が地面に確定する。
| 束石間隔 | メリット | デメリット | 適用条件 |
|---|---|---|---|
| 455mm ピッチ | 根太たわみ小 | 束石数が多い・コスト大 | 重荷重・ハードウッド |
| 910mm ピッチ | 束石数が少ない・標準的 | 根太サイズを大きくする必要あり | 今回の選択(2×6根太) |
| 1,820mm ピッチ | 束石数最少 | 根太たわみ大・床感が柔らかい | 軽量床材のみ |
今回は SPF 2×6 を根太に使い、910mmスパンでたわみ計算を行い問題ないことを確認済み(022の記事参照)。
配置計画(032)はうまくいった。問題は、束石を実際に地面に据えてからだった。
束石を「置く」という作業は単純に見えるが、全16個を±3mm以内の同一高さで水平に据えるのはかなりの精度要求だ。これを甘く見た結果、後半8個は手直しが必要になり、1日追加でかかった。
束石設置位置の地面を、束石の高さ+砕石層分(今回は150mm)だけ掘り下げる。束石サイズ(180×180mm)より一回り大きく(250mm角程度)掘ると後の調整が楽。
掘った後、底面を足で強く踏み固める(タコ突き)。この締固めが不十分だと後で沈下する。
掘った穴に砕石(クラッシャーラン 6号)を100mm敷き込み、角材の端で突き固める(タコ突き)。砕石が均等に沈んで固まるまで繰り返す。
束石を置いた状態で、水糸からの距離を測る。水糸は束石上端の高さに張っているので、束石上面が水糸に接触するか僅かに下(±2mm)にあれば合格。
高すぎる場合は砕石を少し掻き出す。低すぎる場合は砕石を追加する。
束石上面が水平かどうかを水平器(気泡管)で確認。2方向(デッキ縦・横)両方で気泡が中央に来ればOK。傾いている場合は砕石を足し引きして修正。
高さ・水平が確認できたら束石を動かさないよう周囲を土または砕石で埋め戻す。踏み固める際に束石が動かないよう注意。
最初の8個(前半)は慎重に1個ずつ確認しながら設置した。しかし後半に入ったところで「コツを掴んだ」と思い込み、高さ確認を省いて一気に置いてしまった。
その結果:
| 束石No. | 設計高さ(GL+) | 実測高さ | 誤差 | 対応 |
|---|---|---|---|---|
| No.9 | 400mm | 412mm | +12mm ❌ | 砕石掻き出し・再設置 |
| No.10 | 400mm | 403mm | +3mm △ | 許容範囲内 |
| No.11 | 400mm | 385mm | -15mm ❌ | 砕石追加・再設置 |
| No.12 | 400mm | 408mm | +8mm ❌ | 再設置 |
| No.13〜16 | 400mm | 平均+9mm | 全NG | 全再設置 |
高さ誤差が10mm以上あると、単管柱の建て込みで高さ調整が必要になり(クランプ位置がずれる)、最悪の場合は床面の水平が出なくなる。
| 確認項目 | 工具・方法 | 許容誤差 |
|---|---|---|
| 束石上面の高さ | 水糸からの距離(スケール) | ±3mm |
| 束石上面の水平 | 水平器(30cm以上) | 気泡が目盛2つ以内 |
| 束石の位置(XY) | 水糸交点から±10mm | ±10mm(単管で吸収可) |
| 束石の向き | 羽子板の向きを確認(単管方向に合わせる) | - |
全16個の束石設置が完了したら、改めて全体の精度を確認する。
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