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築古物件リノベーション後の家賃設定術

大家のリアル

築古物件をリノベーションした後、最も悩ましいのが「いくらで貸すか」という家賃設定です。私も築30年の戸建てを200万円かけてフルリノベしたとき、強気で家賃を設定しすぎて3ヶ月空室を出してしまった経験があります。逆に、安く設定しすぎてリノベ費用の回収に何年もかかってしまった部屋もあります。家賃設定はリノベ投資の成否を最終的に決める、いちばん大事な工程なのです。

この記事では、15年で何度もリノベと家賃設定を繰り返してきた私が、リノベ後の家賃をどう決めれば「決まりやすく、かつ投資を回収できる」のかを、具体的な数字とともに解説します。「いくらかけたか」ではなく「いくらで貸せるか」から逆算する考え方が核心です。

リノベ後の家賃は「かけた費用」では決まらない

まず大前提として押さえてほしいのが、家賃は「リノベにかけた費用」では決まらないという事実です。200万円かけたから家賃を高くできる、というのは大家側の論理であって、入居者には一切関係ありません。入居者が見ているのは「この設備・この広さ・この立地で、この家賃は妥当か」という相場との比較だけです。

私が最初に失敗したのは、まさにここを取り違えたからです。「これだけお金をかけたんだから」と相場より1万円高く設定し、内見はそこそこあったのに決まりませんでした。結局、相場+3000円まで下げて、ようやく入居が決まりました。リノベ費用は「家賃を上げる根拠」ではなく「相場の上限ギリギリを狙える資格」を得るための投資だと考えるべきです。費用回収は家賃の高さではなく、長期入居と空室の少なさで実現するものなのです。

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適正家賃を割り出す相場リサーチの手順

正しい家賃設定は、徹底した相場リサーチから始まります。私がリノベ後の家賃を決めるとき、必ず踏む手順は次の通りです。

  • SUUMO・アットホームで同条件の物件を20件集める:同じエリア・同じ広さ・似た築年数
  • 「募集中」だけでなく「成約済み」相場も確認する:募集家賃と実際に決まる家賃は違う
  • リノベ済み物件と未リノベ物件の家賃差を見る:自分のリノベがどれだけ上乗せできるか把握
  • 地元の仲介会社に「いくらなら決まるか」を直接聞く:現場感が最も正確

特に重要なのが、仲介会社へのヒアリングです。ネットの募集家賃は「希望価格」であって「成約価格」ではありません。地元の業者は「この設備でこのエリアなら○万円が天井です」という現場の肌感覚を持っています。私はリノベの計画段階で、必ず複数の仲介に「もしフルリノベしたら、いくらで貸せそうか」を相談し、その上限を見てからリノベの予算を決めています。

相場を見るときに私が特に意識しているのが「家賃の心理的な壁」です。たとえば5万円台と6万円台では、入居希望者の検索条件で弾かれるかどうかが変わります。多くの人は「家賃6万円以下」「7万円以下」といったキリの良い上限で物件を絞り込むからです。リノベで質を上げて6万2000円にできたとしても、5万9000円に抑えれば「6万円以下」の検索網に引っかかり、母集団が一気に広がります。わずか3000円の差で内見数が倍近く変わることもあるのです。私はこの心理的な壁を意識し、あえてキリの良い金額の少し下に家賃を設定することで、空室期間を短くしています。家賃設定は数字の科学であると同時に、人間心理の読み合いでもあるのです。

リノベ内容別・家賃アップの目安

では実際、どんなリノベがどれくらい家賃に反映されるのか。私の過去の実績をもとに、内容別の家賃アップ目安をまとめました。あくまで私の地方・築古物件での実例ですが、目安として参考になるはずです。

リノベ内容 費用目安 家賃アップ目安 回収年数の目安
クロス・床全面張替え 30万円 +3000円 約8年
水回り3点交換 80万円 +8000円 約8年
和室→洋室化 25万円 +2000円 約10年
フルリノベ(間取り変更込) 200万円 +1.5万円 約11年

表を見て分かるのは、リノベの回収には総じて8〜11年かかるということです。だからこそ「すぐ退去される家賃」では絶対に元が取れません。リノベ物件は「長く住んでもらってナンボ」。家賃を相場の上限ギリギリに抑え、長期入居を引き出すことが、結果的に最速の回収につながります。

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強気の家賃が許される条件と、避けるべきケース

とはいえ、相場より高い家賃でも決まるケースはあります。私が「強気でいける」と判断する条件を整理しておきます。

強気が許されるのは、そのエリアにリノベ済み物件が他にない場合や、デザイン性・無料インターネット・宅配ボックスなど明確な付加価値がある場合です。競合が古い物件ばかりなら、ピカピカのリノベ物件は相場+5000〜1万円でも決まります。逆に避けるべきは、立地が弱いのに設備だけ豪華にして家賃を吊り上げるケース。立地の弱さは設備では補えません。駅から遠い、周辺環境が悪いといった物件は、いくらリノベしても「相場+α」が限界で、欲張ると長期空室で全てを失います。私は「立地の弱い物件ほど家賃で勝負する」と割り切り、リノベ予算も控えめにしています。

付加価値で家賃を上げるなら、入居者が「毎月の固定費が浮く」と感じられるものが特に効果的です。代表が無料インターネットです。自分でネット回線を契約すれば月4000〜5000円かかるところ、物件に無料Wi-Fiが付いていれば、入居者は実質その分だけ家賃が安く感じます。だから家賃を3000円上げても「ネット代込みなら割安」と受け取ってもらえる。導入コストは月数千円ですが、家賃アップと客付け力の両方に効く、費用対効果の高い投資です。私は単身者向けのリノベ物件には、ほぼ例外なく無料インターネットを導入しています。設備による付加価値づけは、入居者の財布目線で「得した」と感じてもらえるかどうかが分かれ目なのです。

DIYリノベなら回収年数を一気に縮められる

家賃設定の回収年数を劇的に改善する裏技が、DIYリノベです。私はクロス張りや床のクッションフロア施工、ペンキ塗りといった作業を自分でやることで、リノベ費用を大幅に圧縮してきました。業者に頼めば30万円かかるクロス全面張替えも、自分でやれば材料費5万円程度で済みます。

家賃アップが同じ+3000円でも、費用が30万円なら回収8年、5万円なら回収わずか1年4ヶ月。この差は決定的です。もちろん水回りや電気・ガスに関わる工事はプロに任せるべきですが、内装の表層部分はDIYで十分対応できます。DIYでコストを抑えれば、家賃を相場並みに抑えても十分な投資効率を確保でき、空室リスクも下げられます。「DIY父さん」の真骨頂はここにあると私は思っています。自分の手を動かした分だけ、家賃設定の自由度が広がるのです。

設定後も「検証して微調整」する

家賃は一度決めたら終わりではありません。私はリノベ後の募集を出したら、必ず2週間ごとに反響を検証します。反響の数で、家賃が市場とズレていないかが分かるからです。

具体的には、募集開始から2週間で内見が3件以上あれば家賃は適正、内見はあるのに決まらないなら設備や条件に問題あり、そもそも内見すら入らないなら家賃が高すぎるサインと判断します。私が3ヶ月空室を出した苦い経験以降は、「2週間で内見ゼロなら即座に3000円下げる」というルールを徹底するようになりました。家賃を下げるのは悔しいですが、空室で1ヶ月失う家賃に比べれば、早めの軌道修正の方がはるかに傷が浅いのです。リノベにかけた愛着は一旦脇に置き、市場の反応という客観的な数字で家賃を調整する。この冷静さが、リノベ投資を黒字にする最後のピースです。

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まとめ:家賃は「相場の上限」を狙い、回収は「長期入居」で

築古リノベ後の家賃設定で大切なのは、かけた費用ではなく相場から逆算すること、そして家賃の高さではなく長期入居と低空室で回収を目指すことです。徹底した相場リサーチと仲介ヒアリングで上限を見極め、相場の天井ギリギリを狙う。これが「決まりやすく、かつ回収できる」家賃設定の王道です。

さらにDIYでリノベ費用を圧縮できれば、回収年数は一気に縮まり、家賃設定の自由度も上がります。設定後も2週間ごとに反響を検証し、内見ゼロなら迷わず微調整する。リノベへの愛着を脇に置き、市場の反応という数字で冷静に判断してください。それができれば、あなたの築古物件は確実に収益を生み続ける資産になります。

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