アパート経営15年、8棟運営していれば入居者トラブルは避けられない。DIY父さんはこれまで家賃滞納・騒音・無断ペット・夜逃げ・原状回復争いをすべて経験してきた。このページでは各トラブルの実例・対処法・予防策を詳しく解説する。
トラブル①:家賃滞納
実例
築23年のアパートで、入居歴3年の単身入居者が突然家賃を滞納し始めた。最初の1ヶ月は「今月末に払います」で済んだが、翌月も支払いがなく、気づいたら3ヶ月分・合計18万円が未回収になっていた。保証会社に連絡したところ「審査時の保証内容をよく確認してください」と言われ、保証の適用条件が複雑だったことが判明した。
対処法
- 1日目:入金確認。未入金なら当日中にSMS・メールで通知
- 3日目:電話で確認。「いつ入金できるか」を明確に聞く
- 1週間目:書面(内容証明)で支払い催促
- 1ヶ月目:保証会社への代位弁済請求
- 2〜3ヶ月目:弁護士介入・明渡し手続き
予防策
保証会社は「家賃保証型」と「原状回復保証型」があり、代位弁済の上限月数・申請期限が会社ごとに違う。契約時に「代位弁済の申請期限は何ヶ月滞納から?」を必ず確認する。また口座振替ではなく振込の場合、着金確認の自動化(銀行の入金通知サービス)が有効だ。
⚠️ DIY父さんの教訓
保証会社に「申請が遅すぎる」と断られた経験あり。保証内容は契約書を隅々まで読んで、滞納発生時の行動を事前にフロー化しておくことが必須だ。
トラブル②:騒音クレーム
実例
2階の入居者から「1階の住人が深夜に音楽をかけて眠れない」というクレームが来た。管理会社経由で注意したが改善せず、2階の入居者が退去。空室損失は家賃4ヶ月分・約24万円になった。後から調べると、クレームを出した入居者も夜間に足音がうるさいと言われていた「お互い様」の状況だった。
対処法
- まず双方から個別に事情を聞く——いきなり「どちらか悪い」と判断しない
- 書面での注意喚起は「全体向け」の形で出す(特定個人を指定すると紛争化しやすい)
- 改善が見られない場合は個別書面→内容証明の順で対応
- 悪質な場合(繰り返し・深夜の故意的な騒音)は弁護士介入も検討
予防策
入居審査の段階で「生活時間帯」を確認することは難しいが、防音性の高い内装(二重床・防音ドア)への投資が長期的に有効だ。また入居時の説明書に騒音ルールを明記することで、後のトラブル対応の根拠になる。
トラブル③:無断ペット
実例
ペット禁止の部屋で退去後に猫の飼育跡が発覚。クロスへの引っかき傷・フローリングの染み・臭いが残っており、全室クロス張り替え+フローリング部分補修で原状回復費用が45万円になった。入居者側は「ちょっと預かっただけ」と主張し、全額は回収できなかった。
対処法
- 退去立会い時に証拠写真・動画を必ず撮影する
- ペット飼育による損耗は「故意・過失による損耗」として借主負担を明確にした特約を入居時契約に入れておく
- 回収できない場合は保証会社に原状回復保証を使う
予防策
定期点検(年1回)を実施することで、無断ペットを早期発見できる可能性が上がる。また「ペット可物件」として募集すると、最初から堂々と飼える環境を望む入居者が集まり、こうしたトラブルが減るという逆転の発想もある。
トラブル④:夜逃げ
実例
連絡が取れない入居者の部屋を確認しに行くと、荷物の大半がなくなっていた。鍵が内側に置いてあり、事実上の夜逃げと判断。残置物の処分費用・未払い家賃2ヶ月分・原状回復費用で合計30万円以上の損害が出た。
対処法
- 連絡が取れない場合、勝手に入室してはいけない(住居侵入罪のリスク)
- 連帯保証人・保証会社に連絡し、「行方不明・連絡不通」の事実を記録する
- 弁護士に相談のうえ、残置物撤去・明渡しを法的手続きで進める
- 残置物は「廃棄した」証明のために写真を撮り、一時保管または廃棄の記録を残す
予防策
緊急連絡先(親族)を必ず2名登録する。また入居時の審査で「定職・収入の安定性」を重視し、審査通過基準を下げすぎないことが予防につながる。
トラブル⑤:原状回復争い
実例
6年住んだ入居者が退去。管理会社から「原状回復費用35万円」の見積もりが届いたが、入居者側が「経年劣化で借主負担はないはず」と全額拒否。結局調停を経て入居者負担は5万円(壁への画鋲穴補修相当のみ)に落ち着いた。管理会社の見積もりが過大だったことが原因だった。
対処法
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を基準に判断する
- 「経年劣化・通常消耗」は大家負担、「故意・過失・善管注意義務違反」は借主負担という原則を守る
- 入居時の写真・退去時の写真を比較して、明らかな損耗のみ請求する
- 調停・少額訴訟は費用対効果を考えて判断する(少額請求に多大な時間をかけない)
予防策
入居時に部屋の状態を写真撮影し、入居者のサインをもらっておく。退去時も同席して立会いを行い、その場で双方確認のサインをもらうことで後の争いを減らせる。
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まとめ:トラブルを「予防」するための3原則
15年の経験から言えることは、トラブルは「起きてから対応する」より「起きないようにする」ほうがはるかに低コストだということだ。
- 入居審査を甘くしない:収入・勤務先・緊急連絡先・保証会社の審査基準を維持する
- 書面と写真を残す:入居時・退去時・トラブル発生時の記録が後の争いを解決する
- 保証会社+弁護士費用保険のダブル備え:金銭的損失と法的コストの両方に備える
トラブルはゼロにはならない。しかし準備と知識があれば、損失を最小限に抑えることは十分できる。
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